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静かな日々~山と日常と


by garakutaparadise

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バックカントリーを始めるには その6

さて、果敢にも技量は無視してテレマークを選択してしまったあなた。
私はあなたの様な人が大好きです。
これから先、長く楽しくも厳しい
道程が待っていますが、焦らず一歩ずつ積み重ねましょう!
まず用具ですが、テレマークは軽くて颯爽と野山を~と言った入門書の記述は
取り敢えず無視して下さい。それは10年前の話しです。
現在の山岳テレマーク板は山スキーよりも重い位です。
欧米では従来の細い板(ステップソール等)で滑りよりも横の移動を楽しむスタイルは
「テレマークライトツーリング」という独立したジャンルで確立しています。
勿論、滑ることよりもクロカン的に野原を駆け回りたいという方には、
これはこれで充分にやり甲斐のある遊びだと思います。
この分野の事はまた機会があれば書いてみたいと思っています。

話を戻します。
まず私の感じるテレマークの最大のメリット。
それは当たり前ですが、ブーツの甲が曲がる事。
(最近は山スキー用でもスカルパFシリーズ等、甲の部分が曲がるタイプがあります)
板を担いでの歩きもシール登行も山スキーブーツに比べると格段に楽です。
ブーツに関しては上記のライトツーリング以外ではもはや革靴を使用している方は
殆ど見かけなくなってしまいました。プラブーツ一択という感じです。
スカルパTシリーズが圧倒的なシェアで事実、甲の蛇腹の自然な曲がりは秀逸です。
しかし、ブーツはとにかく足型に合っていることが最優先。
メーカーに拘るよりは色々なタイプを試し履きしてフィットした物を探しましょう。
そして、テレマークはブーツのパワーと板のパワーがマッチしている事が重要です。
足首の浅い(スパルパT4等)ブーツでも上手な方ならセミファットの板も乗れますが、
やはりそれはしなかなバランス感覚が出来上がっているからです。
専門ショップで質の良い店員さんにじっくりと相談する事をお勧めします。
ブーツ選びはその後の板、ビンディング選びに直結しますし価格も高いです。
可能な限り慎重に行った方が良いです。

ビンディングに関しては数年前に山スキービンディングと同様の前側ヒンジによる
踵の上げ下げ(我々はパタパタと勝手に呼んでいます)機構が付いたことにより、
板が沈んでしまう深い雪(ラッセル)でのシール登行の際にスキーのトップが
潜ってしまって出てこないという、テレマークビンディング特有の悩みが解消されました。
しかし、まだ過渡期であり製品によっては雪詰りや極端な重量増等、問題も有ります。
ブラックダイヤモンド/O1(オーワン)、ボレー/スイッチバック 辺りは評価が高い様です。
総じて重量は増加しますが(価格も)、足の負担が減ることで登りは楽になるらしいです。
唯、シンプルさこそテレマークの長所と考える方も多いようで、
ここまでの機構は必要無く今までのワイヤー式で充分なのでは?という意見もあります。
私も今のところ同じ様に考えていて、暫くは様子見の状態です。
でも新しい物には常に心を動かされるので(煩悩だ・・・・)、壊れて次に新しいのを買う時は
きっとこのタイプを購入してしまうことでしょう。

昔は主流だった3ピン式ビンディングですが、目ネジで板に直接止めるという方式では
現代のパワーの有るブーツや板には対応出来ません。
しかし、ステップインとブレーキを装備した現代版3ピンと言えるテレブルドックシリーズとして
復活しました。
仲間内ではG3(愛称=じいさん)が使用していますが、軽めの板と組み合わせて
中々調子良く滑っています。意外にも踵は上がり難く、滑り向きの設定らしいです。
バックカントリーを始めるには その6_d0208808_16204480.jpg


リリース(転倒時の板の開放機構)付きのビンディングは今ひとつ普及しません。
やはり重量増を嫌う方が多いのかと思います。
その為、どうしても捻挫や骨折のリスクは高くなると思います。

板に関しては、年々山スキー用とテレマーク用の区別が無くなっています。
どちらにも使えるという事です。
それ程テレマーク板はアルペン(山スキー)寄りになりました。
長さに関しても身長-10cm~+10cm位に収まるかと思います。
幅が広めのセミファット系は悪雪を切っていけるので人気が高いですが、
幅が広いと登りのトラバースや硬いバーンで一気に足が張ります。
比較的細身でサイドカーブ強めの切れの良い板と2本用意して、時期によって使い
分けるという方が多いのが実情でしょうか。
私もそうしていますが、理想としてはどんなシチュエーションでも中庸なタイプの板
一本を使用して、人間側のスキルでこなしていきたいとは思っています。

実際の滑りに関しては、やはりテレマークは難しいです。
スクールには入らず、転びながら独学でという事なら5~10年位掛かるかもしれません。
しかし、その年月はきっと記憶に残る素晴らしい日々になることでしょう。
そしてテレマークの滑りはある程度自由です。
レース系の方は別として、バックカントリーは独学だろうと何だろうと
まだまだ好きなスタイル(フォーム)でOKという大らかさがあります。
体系だった技術が確立しているアルペンに大して、これが最大の魅力かもしれません。
アルペンの基礎を知らずに我流のフォームで山スキーをやるよりは良いかと個人的には
思っています(私がテレマークに転向したのもこれが理由)。

バランス感覚である程度カバー出来るとはいえ筋力は必要です。
太腿の持久力=登り&滑りの強さに直結します。
滑りの最大のデメリットが重い雪の緩斜面を滑る際の太腿のパンプだと個人的には
思っています(前につんのめりそうになるので抑えるのに力を使う)。
まあ、これも鍛えれば解決するのですが(^^;

でも、沢山転倒して苦労した先にテレマークの楽しさがあります。
ゆっくり経験値を上げていきましょう。
オスプレーのザックを背負い、派手にぐるんぐるんコケているテレマーカーを山で見かけたら
それは私かもしれません。
その時は雪のベンチを作って一緒にコーヒーでも飲みましょう~♪
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by garakutaparadise | 2011-03-20 16:59 | バックカントリー